検定規則と保守点検

気象測器検定規則

気象業務法の下位法令であり、一定の範囲の公共的な気象観測に使用される気象測器について、所定の測定原理に応じた構造(作動の確実性、耐候性など)を有し、かつ、器差(観測値の誤差)が気象業務用として許容される範囲内にあることを保証するための制度、及びこれに基づいて行われる検査、証書の交付などについて定めたものである。

気象測器検定制度の目的

不正確な気象測器で観測した結果を,防災目的に利用したり,一般に公表したりすれば,災害対策に遅れや過ちを生じたり,社会的混乱を招くおそれがあるため,正確な観測の実施及び観測の方法の統一の観点から,気象測器の精度を確保する必要があります。
このため,国,地方公共団体が行う観測,民間気象事業者が予報業務のため自ら行う観測,船舶が海上で行う観測等に用いられる気象測器について検定を行うこととしています。

検定合格の基準

気象測器ごとに,次の基準について検査し,基準に適合した場合に検定合格としています。
① 運輸省令で定める気象測器の種類に属していること
② 運輸省令で定める構造(材質を含む)を有していること
③ 器差(気象測器が示す値と基準器が示す値との差の絶対値)が定められた範囲(検定公差)の範囲内にあること
なお,あらかじめ種類,構造が①,②に適合することの証明(型式証明)を受けた気象測器については、③のみについて検査することとしています。

検定作業

検定対象の気象測器

対象となる気象測器は「気象測器検定規則」に定める温度計、気圧計、湿度計、風速計、日射計、雨量計、雪量計の7種類で、これらをさらに測定原理、構造、材質等によって、22種類に分類しています。

検定の有効期限

検定の有効期間は原則5年(気象業務法第31条)であるが、ラジオゾンデ⽤の測器は1年、その他の気象測器(下表に記載のないもの)には有効期間の定めはありません(気象測器検定規則)。

有効期間を定めている気象測器を継続して利⽤する場合は、検定有効期間を満了するまでに再検定を受けてください。

検定の有効期間を定めのないその他の気象測器は、定期的に保守・点検を⾏っていただき正しく測定できていることを確認する必要があります。

気象業務法とは

気象業務法(きしょうぎょうむほう、1952年6月2日法律第165号)とは、気象業務に関する基本的制度を定めることによつて、気象業務の健全な発達を図り、もつて災害の予防、交通の安全の確保、産業の興隆等公共の福祉の増進に寄与するとともに、気象業務に関する国際的協力を行うことを目的とする法律です。(同法第1条)

気象業務とは

気象業務(きしょうぎょうむ)とは気象業務法第2条第4項によれば以下のものを言います。
1.気象、地象、地動及び水象の観測並びにその成果の収集及び発表
2.地象(地震及び火山現象を除く。)及び水象の予報及び警報
3.気象、地象及び水象に関する情報の収集及び発表
4.地球磁気及び地球電気の常時観測並びにその成果の収集及び発表
5.前各号の事項に関する統計の作成及び調査並びに統計及び調査の成果の発表
6.前各号の業務を行うのに必要な研究
7.前各号の業務を行うのに必要な附帯業務

気象業務の担い手としては、主に各国の気象機関及び世界気象機関、国際民間航空機関等の国際機関が想定されるが、各種防災機関(日本における国土交通省河川局等)、研究機関、大学等の役割も考え合わせるべきであります。
また近年では、民間企業による観測、予報、情報配信等の事業の役割も大きくなってきており、国家の気象機関との役割分担のあり方は、世界気象機関等でもよく議論されるところとなっています。
日本においては気象業務の基幹部分を担うのは気象庁であるとされ、気象業務法第3条は気象庁長官に以下の任務を与えています。
1.気象、地震及び火山現象に関する観測網の確立及び維持
2.気象、津波及び高潮の予報・警報の中枢組織の確立及び維持
3.気象の観測、予報及び警報に関する情報を迅速に交換する組織の確立及び維持
4.地震及び火山現象の観測の結果を迅速に交換する組織の確立及び維持
5.気象の観測の方法及び観測成果の発表の方法の統一
6.気象の観測の成果、気象の予報及び警報並びに気象に関する調査及び研究の成果の産業、交通その他の社会活動に対する利用の促進

保守点検の必要性

気象測器は野外の風雨や日射にさらされるという厳しい環境条件の中で長期間にわたって連続的にデータを収集します。気象観測データの品質を向上させるためには、観測環境や保守点検が重要な要素になります。
気象観測をより良いものにするためには、精度の高い測器を導入するだけでなく、測器を適切な観測環境に設置すること及び日常の点検や定期的な保守点検をおこたらないことがとても大切です。実際の定期保守の回数は観測に使用している測器の校正頻度や消耗品の交換周期等を考慮して決めると良いでしょう。